{"paper_id":"3154b926-1d73-4353-aa24-776ed2df0199","body_text":"様式第 5号 ( 第 9条関係 ) \n論 文 内 容 の 要 旨 \n報告番号 空 欄 氏 名 \n陽千一 冗 士 口 \nC y s t  f l u i d  i r o n - r e l a t e d  c o m p o u n d s  a s  u s e f u l  m a r k e r s  t o  d i s t i n g u i s h  m a l i g n a n t  \nt r a n s f o r m a t i o n  f r o m  b e n i g n  e n d o m e t r i o t i c  c y s t s .  \n( 和 訳 ) \n良性の子宮内膜症性嚢胞と悪性転化を鑑別するのに腫場内容液中の鉄関連物質が \n有 用 な マ ー カ ー と な る \n論文内容の要旨 \n[ 目 的 ] 子 宮 内 膜 症 は 、 2 0 0 万人以上の女性が擢患する頻度の高い疾患である。我々は 1 7 年間の前方視的 \n臨床研究により、本邦における子宮内膜症性嚢胞患者のがん発生頻度は 0 . 7 2 % で、自然発生卵巣がんに \n比べ高率でがん化が起こることを証明した。子宮内膜症性嚢胞は月経毎に出血を繰り返すため、赤血球に \n含まれる「鉄」が過剰な活性酸素を生成し、酸化ストレス状態となるため、癌化が促進されると考えられてきた \n。そこで、我々は子宮内膜症嚢胞と内膜症関連卵巣癌の嚢胞内用液中の総鉄濃度、ヘム鉄濃度、遊離鉄 \n濃度を測定し、これらが両疾患の鑑別に有用なバイオマーカーで、あると証明することを目的とした。 \n[ 方 法 ] 2 0 1 2 年 1 2 月から 2 0 1 3 年7月の期間に当院で手術を施行し、倫理委員会の承認のもとに説明し同意を \n得られ、病理組織学的に診断された子宮内膜症性嚢胞 3 6 例と内膜症関連卵巣癌 1 1 例を対象とした。手術 \n時に腫療内容液を採取し、総鉄濃度を I C P - O E S 法、ヘム鉄濃度を T r i t o n - M e t h a n o l 吸光法、遊離鉄をキレ \nート吸光定量法で測定し、統計学的検討を行った。 \n[結果】子宮内膜症性嚢胞と内膜症関連卵巣癌の嚢胞内用液中の総鉄濃度、ヘム鉄濃度、遊離鉄濃度 \nは、それぞれ 2 4 4 . 4 : t 2 0 4 . 9 m g / l v s  1 4 . 2 + 3 6 . 6 m g / d l ，  pく0 . 0 0 1 、3 0 3 . 9 + 3 2 4 . 4 v s  2 7 . 6 + 5 3 . 4 ，  pく0 . 0 0 1 、\n1 3 . 5 士 1 6 . 2 v s  3 . 9 +  2 . 7 ，  pく0 . 0 0 1 であり、内膜症関連卵巣癌では子宮内膜症性嚢胞と比較し有意に鉄関 \n連物質の濃度が低かった O また、総鉄濃度は患者の年齢や腫虜径には関連しなかった。 R O C 曲線を用い \nて総鉄濃度のカットオフ値を 6 4 . 8 m g / l に設定した場合、感度 9 0 . 9 % 、特異度 1 0 0 % 、陽性的中率 1 0 0 % 、\n陰性的中率 9 7 . 3 % と高い精度で、卵巣癌の診断が可能であった O\n[考察 ]何年も繰り返す出血により、ヘモグロピ、ン由来の鉄が活性酸素を生成し、脂質、蛋白、 D N A 損傷を \n蓄積することで癌化すると考えられていたため、当初は過剰な鉄が癌化を引き起こすと想定していた。しか \nし、予想に反して内膜症関連卵巣癌では有意に鉄濃度が低い結果となった。活性酸素は、癌化の側面と \n恒常性維持のために細胞死を誘導する側面の両者を持ち合わせている。また、過剰な活性酸素は細胞死 \nを誘導し、致死量以下の適度な活性酸素は細胞の生存を維持することが知られている。従って、子宮内膜 \n症性嚢胞において強力な活性酸素の環境下では癌化ではなくむしろ細胞死が誘導されており、慢性的に \n適度な量の活性酸素の場合は細胞の生存を促進し、遺伝子不安定性を与えつつ、癌化の機会をもたらす \nのではなし、かと考えられた。これまで子宮内膜症性嚢胞の癌化の予知や、癌化の鑑別に優れたバイオマ \nーカーは存在しない。嚢胞内用液中の鉄濃度の低下は、癌化の予知・早期発見や手術加療の必要性の \n提示などに役立つ可能性がある。 M R スベクトロスコピーの技術を用いて非侵襲的に嚢胞内容液中の鉄濃 \n度が測定できないかも検討中であり、癌化の早期発見ができる可能性がある。 \n[結語】子宮内膜症患者において鉄関連物質は高い感度・特異度で、癌化を予測する重要なバイオマーカ \nー で あ る 。","source_license":"CC0","license_restricted":false}