{"paper_id":"02e78ef1-887d-40d1-9b9b-7da2dc672f3a","body_text":"特集 子宮内膜症の病態解明と画期的な新薬開発に向けた新たな視点\nドラッグリポジショニングをめざした子宮内膜症非ホルモン性治療の検討\n2024 年 159 巻 6 号 p. 374-380\n詳細\n抄録\n子宮内膜症の治療の主軸はホルモン療法であるが，排卵を抑制するため，治療中妊娠はできない．子宮内膜症は不妊の要因にもなるため，不妊治療中は内膜症も悪化しより状況が悪くなるという悪循環に陥る．一方で，卵巣温存手術である卵巣子宮内膜症性嚢胞摘出術は，卵巣にダメージを与えるというジレンマがある．以上より，非ホルモン性の薬物治療が望まれている．当教室では，これら子宮内膜症治療の問題点の解決をめざし，卵巣機能の維持と両立する治療につながる臨床研究や基礎研究に取り組んできた．このうち子宮内膜症モデルマウスを用いた2つの研究を紹介する．一つ目は，卵巣子宮内膜症性嚢胞のモデルマウスを用いて，nucleotide-binding oligomerization domain, leucine-rich repeat, and pyrin domain-containing（NLRP）3阻害薬の作用を検討したものである．患者由来検体ならびに，マウスモデルの病変において，卵巣子宮内膜症性嚢胞では，子宮内膜に比して，NLRP3の発現が亢進していることを確認した．子宮内膜での発現は，子宮内膜症併存の有無によって変化を認めなかった．モデルマウスへの阻害薬の投与により，病変が縮小することを確認した．NLRP3の阻害は，着床の場である子宮内膜の増殖を抑制しないことから，挙児希望と両立する治療法になる可能性が示唆された．既存薬でもNLRP3阻害作用を持つ薬剤があり，内膜症治療への応用も期待される．二つ目は，腹膜病変マウスモデルを用いた子宮内膜への細菌感染と子宮内膜症発生についての検討である．既存データベースならびに，患者由来検体から，子宮内膜症の発生に子宮内膜へのフソバクテリウム感染による子宮内膜線維芽細胞の表現型変化が関与することをつきとめた．モデルマウスでの検討では子宮内膜へのフソバクテリウム感染により病変が増大すること，さらに，抗菌薬投与による除菌の結果，病変が縮小することを確認した．NLRP阻害作用を持つ既存薬剤，抗菌薬のドラッグリポジショニングが，子宮内膜症の新しい非ホルモン性治療となる可能性が示された．\n© 2024 公益社団法人 日本薬理学会","source_license":"public-domain-us","license_restricted":false}